SSブログ

会社は誰のもの? ~公益資本主義について~ [長男・中曽根康隆]

先日の「アベノミクス2年目の課題」に続いて、今回は自民党の国家戦略本部による「2030年の日本」検討・対策プロジェクトの第12回勉強会に代理出席した。

今回の講師はアライアンス・フォーラム財団の代表理事である原丈人氏、テーマは「公益資本主義と成長戦略」。

公益資本主義1.JPG

以下ブログでは公益資本主義について。

この公益資本主義(Public Interest Capitalism :PIC)という考えは、いわゆる株主資本主義に真っ向から挑む資本主義の考え方であり、「会社は短期的視点で株主の利益を最大化する事を目的としている」という従来の説を否定し、「会社は顧客、従業員、取引先、地域社会、地球、株主から成り立ち、経営陣はすべてのステークホルダーに対して中長期的視点で利益を還元する」という発想に基づいている。

「不況下で倒産の危機に直面した経営陣が従業員の大幅な減給を断行。一方で多額の成功報酬を得る」という事例を原氏は株主資本主義の例として挙げているが、実際に私自身も外資系投資銀行で働いた時代に良く目の当たりにした光景である。

理論としては、経営陣が従業員の給料を減額した→会社の財務状況を改善した→企業価値を高めた→経営陣への報酬という具合である。これは会社=株主所有を前提としていて、短期的にでも企業価値を高める(=株価を釣り上げる)ことが株主にとって好ましいとされているからである。だからこそ米国の従業員と社長の給料差は数百倍にもなるケースがある。

原氏は「株主資本主義では時間のかかるビジネスモデルは株主に好まれず、短いほど良いと考えられている。結果、ゼロサムゲームとなり富は二極化していき、これが実体経済を脅かしている」と話している。実際に1960年には平均投資期間は8年だったのに対し、現在では1年以下となり「投資でなく投機」的な傾向が強くなっている。

この原理に対して、公益資本主義では1.会社の持続可能性2.分配の公平性3.事業改良改善性の3つを目指し、それにより長期投資を促進させる事を目的としている。

原氏の狙いは「短期的視点の利益や株主マインドに批判的な、発展登場国を含む海外投資家のお金を日本に取り込むべきである」という事である。つまり「日本の企業は短期的に株価を上げる事だけを目的とはしていません!会社はすべてのステークホルダーのものであり、中長期的にしっかりと成長させて、結果として株価をあげていく、そういう考えに賛同する株主を求めています!」という主張をしっかりと世界に対して明示すれば、行き場を失っている多額のお金が日本に入ってくるのではないか。

米国に追随するのではなく、「短期的には借金が増えて苦しい時期があるかもしれない企業も長期的視点で支えてあげれば後々に大きな結果を出すかもしれないし、そういう企業を日本は応援し、育てていくんだ」というアピールを世界にする事が大切になってくるのではないか。

公益資本主義2.JPG


弱まっているとはいえ米国ヘゲモニーの世の中は続いている中で、この米国の押し進める資本主義にアラートを鳴らす同盟国・日本、というのも面白い構図ではある。

いずれにせよ会社は誰のものかという議論は長年行われてきているし、それに対する唯一の正解はない。ただ個人的には、企業が一部の人間の富を増やす為だけの道具になることは良くないと思うし、企業の発展がそれに関わる全てのステークホルダーの発展につながることが理想形であるのは間違いないと思う。





中曽根弘文ファミリー日記を応援していただける方は、クリックをお願いします。
にほんブログ村 地域生活(都道府県)ブログ 群馬情報へ 人気ブログランキングへ

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。